メディアレポート

森永乳業はCM出稿の“価値”を計れるメディア分析を求めていた

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森永乳業株式会社マーケティングコミュニケーション部長・寺田文明氏インタビュー

聞き手:メディアコンサルタント・境 治

森永乳業といえば「クリープ」や「ピノ」など日本人の生活に定着したロングセラー商品を多く持つ企業だ。一方で、新商品も次々にローンチし育ててきた。同社の商品と顧客を結ぶマーケティングコミュニケーション部長、寺田文明氏はマーケティング界きっての理論家として知られている。データ分析でも先進的な姿勢で取組み、スイッチ・メディア・ラボ社のテレビ視聴データ分析サービス「SMART」もいち早く導入している。このインタビューでは、寺田氏の独自の理論を解きほぐしながら、データ分析・活用の極意に迫った。

森永乳業の著名マーケターは技術系出身

森永乳業株式会社 マーケティングコミュニケーション部長・寺田文明氏
– 寺田さんはもともと技術畑だったとお聞きしています。
寺田文明氏(以下・寺田):そうなんです。バイオテクノロジーがやりたくて食品会社に入りました。

– 2008年に広告部に移られたあと、部署の名前を広告部からマーケティングコミュニケーション部に変えていますね。
寺田:広告は一方的に発信するものと思われがちですが、今我々はお客様との良い関係を作りたいと考えています。このためには、お客様を知り、こちらを知ってもらい、かつ交流するという3つを取り組むことが大事だと思います。お客様と双方向のコミュニケーションをしていこうと思いを込め、昨年6月に広告部からマーケティングコミュニケーション部に改称しました。

– それから、寺田さんの対談記事などを読むと、「個人対個人」のコミュニケーションを重視されているように感じます。
寺田:ある街頭イベントをやったとき出会った若い男性に話しかけ、「本当にいい商品ですよ」と自ら力説したら「じゃあ一回飲んでみようかな」と言ってくれました。このとき、この様な想いを込めたコミュニケーションがとても重要だと気付いたのです。でも、仮に私が日本中の1億2千万人と1人10分話をするのに、1年250日働くとして4000年かかるわけです。まったく現実的ではない。そのときに、だから広告があるのだと思いました。テレビCMの先には一人ひとりのお客様がいて受けとめている。お客様一人ひとりと直接話す気持ちが大事だと気付いたのです。

「ブランドステージ」に注目した戦略展開

– 寺田さんは「ブランドステージ別」という考え方を編み出されましたよね。
寺田:私の部門で広告を担当しているブランドが十数種類あります。商品カテゴリーも飲料からヨーグルト、冷菓、チーズまでいろいろです。多様な状況のブランドを横断的に見るチャンスがあって、考えるベースになりました。そこからブランドステージ別のコミュニケーション施策の考え方に至り、その後その考え方で計画実行するとうまく当てはまりましたね。

ブランドステージ別マーケティング視点

飲料からヨーグルト、冷果、チーズと多岐にわたる商品をブランドステージ別に独自のマーケティング理論をまとめている。(資料提供:森永乳業)

最初はあまりブランディングを考えるより、商品の良さをしっかり伝えるべき段階。それが市場で伝わったあとからは、しっかりお客様との関係をつくってブランディングしていく。そういう順番があるというのが私たちの考え方です。

– そういう発想だと、メディアのリサーチについてはどのようにお考えですか?
寺田:関係を作ることがミッションなので、お客様のことを知るために、お客様の声を収集する方法を体系化しました。特に、シングルソースパネルを使ってリサーチし、広告実施の前と後で同じお客様に聞くことを重視しています。

さらに、お客様の声を聞くと言う意味ではソーシャルメディアのリスニングをやったり、オウンドメディアのコミュニティサイトから有効なお客様の声を拾ったりしています。

広告も、科学的にやろうと思った

メディアコンサルタント 境治氏
– スイッチ・メディア・ラボのSMART導入はいつごろですか?
寺田:構想はずいぶん前から伺っていて、期待していました。実際に導入したのは2014年からです。

– 期待されたポイントは?
寺田:広告の価値を上げることを目標にしています。価値工学の考え方では「価値」Vは、V=F/C(V=Value F=Function C=Cost)となります。機能を上げてコストを下げれば価値が高まる、という考え方です。

– 価値工学?もう少しご説明ください
寺田:「Value Engineering」と言いまして、生産活動などで製品の価値を高めるために用いる概念です。広告も科学的にやろうと思ったのです。テレビCMでいうと、Cはメディア単価で、Fはターゲット含有率。個人ターゲットは何%含まれているか、その数値を上げれば広告価値も高まる。

このターゲット含有率を出すために、以前はとても時間がかかりました。そんなときにSMARTに出会いました。個人視聴率のCMアクチュアルデータ(※)にしても、SMARTでほぼリアルタイムにアクチュアルがわかるのは大革命だったと思います。含有率が改善できればVが上がる。

※アクチュアル
実際に放送されたときのCMの視聴率。スポットCMのセールスで使用されるGRP(延べ視聴率)は、ある算定期間(通常、販売時の前4週の平均)の実績値を使用するが、実際にCMが放映されたときの視聴率をアクチュアルと呼ぶ。

SMARTのメリットは「リアルタイム性」とあと2つ

メディアコンサルタント 境治氏
– SMARTを導入して良かったのはどんなところですか?
寺田:いまお話ししたデータのリアルタイム性ですね。それから、フレキシビリティ。思いついた分析を、すぐ要素を組替えて実現できるところもいい。そしてニュートラルな企業姿勢。メディアに対してフラットな立場で数値を出してもらえる信頼感があります。

– 業務の中で具体的にはどう使ってらっしゃるのでしょう?
寺田:CM出稿についての、アクチュアルチェックは毎月やっています。社内報告では、GRPが1000%というとCMがいつどこに何本流れたのかとよく聞かれるのですが、SMARTを使えばそれも簡単に出せます。自社の商品別GRPや競合の出稿状況がどれくらいだったのかもすぐにわかります。

併せて、時間帯別のデータで、ターゲット別に含有率のヒートマップを出して、それを次回の出稿の参考にしています。例えば、マウントレーニアだとSMARTの詳しい属性と紐付け、「コーヒー好き」とか「健康好きな人」といったオリジナルターゲットを使って、効率がよい枠はどの辺かを探ったりします。

また、競合社の出稿が増えてくるとアラートを出してもらうことにしています。いちばん困るのが、他社の広告出稿の動向を私たちが知らないことです。そうならないよう、競合社の動きを察知するためにアラートが役に立ちます。

– SMARTの価値を大いに感じていただいていますね。
寺田:でも不満もありますよ。課題としては、データ連携。いろんなデータと連携していただきたいですね。例えば購買データや、他のメディアのデータとの連携には期待しています。あと、定性的な情報も欲しいなと思っています。エムデータさんのデータと連携しているなら、番組内容とも結びつけるともっと深いところがわかるはずです。パブリシティをやった時に内容がどう評価されたかとか、SNSで何が上がったとか。

テレビCMは、定量的な分析にはここから先大きな進化がないのではないかと考えています。定性と定量の分析が結びつくと新たなことがわかるのではないでしょうか。

お客様とのコミュニケーションは“シナリオ”に基づく劇

寺田文明氏と境治氏
寺田:メディアは私たちとお客様の間を繋ぐ大事な存在です。お客様とのコミュニケーションはシナリオに基づく劇のようなものです。言ってみれば、メディアは役者さんです。いい役者、個性を持つ役者として今後も私たちの「劇」に必要欠くべからざる存在です。

テレビは中でも大事な役者さん。華があります。ただ、テレビを使わなくてもできるシナリオが増えて来た印象はありますね。

– 今日はどうもありがとうございました!

寺田氏は強靭な理論を持つロジカルな方だが、同時に非常に情熱的で熱い方であることもお話からよくわかった。飽くなき探求心で、多様な試みから得た発見を体系立てて理論化している。技術畑から広告の世界に来たからこそ見えてきた発見は、広告業界に長くいる者に思いもよらない新鮮な啓発を与えてくれる。同時に、個人対個人の関係をベースにコミュニケーションをとらえる姿勢にも学ぶべきだろう。だからこそ事細かなデータがリアルタイムに必要なのだ。多くの人にとって貴重なインタビューとなったと思う。

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