メディアレポート

資生堂が注目したのは、属性別にテレビ視聴を分析できることだった

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

資生堂ジャパン株式会社 コミュニケーション統括部長・小出誠氏インタビュー

聞き手:メディアコンサルタント・境 治

日本の広告コミュニケーションの一翼を担ってきた、資生堂。広告を文化のレベルに高めてきた、宣伝広告の歴史を語るうえで欠かせない企業だ。また、メディアの選定や活用においても常に業界をリードしてきた。メディア環境が激しく変化し、狙ったターゲットへ広告を届けることが難しくなっている今、広告展開におけるメディアリサーチの活用と重要性についてどう考えているのだろう。同社のメディア戦略を指揮するコミュニケーション統括部長・小出誠氏に、スイッチ・メディア・ラボ社のテレビ視聴データ分析サービス「SMART」の使い方を軸にしながら、そのリアルなところをお聞きした。

各メディア担当者が同じ部署でブランドのメディアプランニングに取組む

資生堂ジャパン株式会社 コミュニケーション統括部長 小出誠氏

– まず、コミュニケーション統括部の役割についてお聞かせください

小出誠氏(以下・小出):この部署は2014年4月にできて、私が部長になりました。トリプルメディアを全部見る、というのがコンセプトです。その後の再編でオウンドメディアはこの部署から離れ、現在はメディアプランニング/バイイング、戦略/商品PRが主業務です。

– つまり、いろんなメディアのコントロールを各担当者が連携して行うわけですね?

小出:そうです。マーケティング部のブランドマネージャーが核になり、ブランド担当者とメディア担当者が連携し、コミュニケーションプランを策定します。

– メディアが複雑になっている中で、メディアリサーチとは部門にとってどんな役割でしょうか?

小出:当部のミッションはブランドコミュニケーションにおけるROIの向上だと思っています。あるターゲットに対してコミュニケーションを仕掛けたいときに、いちばん投資効率のいい方法を常に提供できなければいけません。そうすると事前に何がいいのか知らなければならないし、実施結果も確認する必要があります。実施前と後の両方でリサーチが必要ですね。

当部では1年に1回、まず全体感を把握するために、生活者のメディアコンタクト調査を自分たちで行います。毎年の調査結果を見ると、1年ごとに接触するデジタルメディアの流行が変わっているのがわかります。

今年はもうインスタグラムに尽きますね。若い女性たちは、新しいメイクをインスタで検索するそうです。

大切なのは「世帯視聴率」よりも「ターゲット含有率」

メディアコンサルタント 境治氏

– 自分たちでもリサーチされてるのはスゴイですね!新たにテレビ視聴データを導入したポイントはどんなところですか?

小出:SMARTの最大のポイントは、どんな人がテレビを見てらっしゃるのか、性年齢だけに留まらない詳しい属性と紐付けできる点ですね。例えば、美容への興味の度合や主な購入場所などと紐付けできます。あとやはりデータ提供のスピードの速さもポイントの高い特長です。

– 既存の視聴率データとの使い分けはどうお考えですか?

小出:それぞれの番組に「自分たちが見てほしいターゲット」がどのくらいいるかを一番大切にしているので、視聴者の属性データを細かくみたい時に活用しています。

仮に世帯視聴率が高かったとしても、例えば若年層向けメークブランドのインテグレートという商品にとっては”20代の女性がどのくらいいるか”の方が大切です。もし世帯視聴率が30%としてそのうちの5%しかターゲットがいなければ、30%×5%の1.5%分しかないのと同じになるわけですよね。仮に世帯が10%としても、そのうち20代女性が全体の5%分になるので、我々にとってはそちらの方がよい番組です。

いまのTVスポットバイイングのビジネスで言えば、世帯視聴率が低くても我々のターゲットの含有率が高ければ「トク」になります。自分たちにマッチした部分で優良な枠はどこなのだろう。それを探す必要があるわけです。

– 実務としては、具体的にどのように活用なさっていますか?

小出:既存の視聴率データとSMARTの視聴率データを使って、番組時間帯別にターゲットの含有率でヒートマップを作って比べています。

ヒートマップ

既存の視聴率データとSMARTの視聴率データを使ってターゲットの含有率が高いところを色付けしたヒートマップを作成。既存の視聴率データではF1・F2、SMARTの視聴率データでは性年齢に加えて、「1ヶ月の美容にかける金額」や「化粧品の購入チャネル」といった属性を足したオリジナルターゲットで比較している。(ヒートマップは当社が作成したイメージ図。)

このように異なる番組が赤くなるので、我々にとっての効率がよい枠を見定めることができます。こうしたヒートマップの作成を主力ブランドで実施しています。

– 「おしゃれイズム」(日曜夜10時・日本テレビ系列)は1社提供番組ですが、接点として重要でしょうか?

小出:これもスイッチ・メディア・ラボさんからデータをいただいてわかったことなのですが、個別のサンプルの動きを時系列で追えるのですね。今週見ていた人が先週見ていた人なのかがわかる。流入流出のデータですね。我々が持っていた認識とずいぶん違っていて、社内では「おしゃれイズム」は資生堂ファンが毎回見るのでリーチが広がらないと思い込んでいました。ところが実際には7割近くが入れ替わっていたのです。だから毎週同じ広告素材でもいいのだとわかりました。これによって「おしゃれイズム」への素材の入れ方は劇的に変わりました。

– 広告枠については、広告代理店さんにどう交渉するのでしょう?細かな交渉はできないのではと思いますが。

小出:弊社は以前からうるさく線を書き換える広告主として煙たがられていました(笑)。細かくスポットの線をチェックしていますが、どちらかというと経験則で行っていました。今はSMARTのデータがあるので、データを根拠に一歩踏み込んで交渉をさせていただいています。

企業から見たメディア分析の今後

小出誠氏と境治氏

– 今後のお話も伺いたいのですが、SMARTに限らずもっとこういうデータがあるといいなといった要望はありますか?

小出:多くの会社の色々なデータがつながることだと思いますね。SMARTでいうとエム・データ(TVメタデータを作成する企業)さんのデータとか。データがつながることでテレビをどう使えばいいか、誰が見ていたのか、どのような視聴態度だったのかなどがわかるといいと思います。TVISION INSIGHTSさんのAIとかVIとかともつながり、広告配信の仕組みとも連携できれば、誰がTVの前にいるかで出しわけられる可能性もありますよね。男性が見ていればトヨタさん、女性が見ていれば弊社、ということもできるといい。いまのコストが10とすると、うちとトヨタさんが6ずつ出すからテレビ局の収入としては12になって三方良し(笑)!男女分けだけでもいいので実現してほしいですね。

– 企業にとってメディアとは?オウンドメディアに力入れるとメディアはいらなくなるのでしょうか?

小出:コミュニケーションをBtoBtoCなのかBtoCtoCなのかで分けて考えます。BtoBtoCのBはメディアさんです。オウンドメディアではBtoCtoCになります。そうするとCから先は制御できなくて、どう拡散されてしまうか、質的なものはコントロールできない。BtoBtoCのメディアは質の面を担保してくれます。純広が最たるもので、自分たちが作った情報をそのまま届けてくれます。そう考えると今後もメディアの価値は重要です。受け取る側もフェイクニュース騒動などがあると、きちっとしたメディアから伝わる情報を重視するようです。今後の私たちのコミュニケーションにもメディアは欠かせない存在であることは間違いないでしょう。だからこそ、データもますます重要になると思います。

– 今日はどうもありがとうございました!

小出氏のお話は非常に明解だった。コミュニケーション統括部のミッションがROIの向上だというのもわかりやすい。だからこそ、メディアの効率的な使い方のためにデータが重要になることがよく理解できた。これからの企業コミュニケーションにとって何が必要なのか、このインタビューからすくい取ってもらえればと思う。

本記事でご紹介している新しいテレビ視聴データ分析サービス「SMART」のテレビ視聴データを使った分析を無料でお試しいただけます。直近に実施されたCM出稿実績を元に診断してレポートをご提供いたしますので、ぜひ、無料お試し「テレビCM診断レポートサービス」をお申し込みください。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

無料お試し:テレビCM診断レポートサービス

無料お試し「テレビCM診断レポートサービス」

新しいテレビ視聴データ分析サービス「SMART」のテレビ視聴データを使った分析を無料でお試しいただけます。直近に実施されたCM出稿実績を元に診断してレポートをご提供いたします。

    無料診断内容
  • テレビCM出稿枠の効率分析レポート
     局・曜日・時間帯別のターゲット含有率ヒートマップとCM実績を可視化
  • ターゲット別のフリークエンシー別リーチ分析レポート
     CMに3回リーチの方などのフリークエンシー別の構成比を性年齢別に分析
  • ターゲットリーチ推定人数 / リーチ単価
     関東圏のCMリーチ推定人数とリーチ単価を算出。他媒体との比較が可能

是非、貴社のマーケティングにご活用ください。


無料診断を申し込む